M&Aにおける
バリュエーション
M&Aにおいて、対象会社の企業価値や株式価値の評価(バリュエーション)は、マネジメントが意思決定を行うにあたって最も重要な考慮事項の一つであり、M&Aのプロセス全体、すなわちPre-Deal(M&A戦略の策定や、ターゲット選定)、On-Deal(相手先との価格交渉等)、Post-Deal(PPAや減損テスト)の各場面を通じて必要となるものです。
バリュエーションの実施にあたっては、インカム・アプローチ、マーケット・アプローチ、コスト・アプローチに大別される手法に基づき、対象となるビジネスやターゲットの特性等も踏まえ、適切なアプローチを選択して評価を進める必要があります。
多くの場合、複数の手法を総合的に勘案して分析を進めますが、適切な分析のためには、対象となるビジネスの知見に加え、バリュエーション上のテクニカルな知識やマーケット動向の分析、さらに類似取引事例の分析など、評価の専門家の関与が欠かせません。
また、M&Aは貴社の企業価値に大きな影響を与えることから、その合理性や公平性について、マネジメントが各ステークホルダーへの十分な説明責任を果たさなければならない場面も多くなります。
第三者の経験豊富な専門家による客観的なバリュエーションは、貴社の意思決定のための有用な手助けとなるとともに、経営者としての善管注意義務、忠実義務を果たすという観点からも有用です。
フォーカスバリュエーションでは、大手監査法人系ファームにて大小多数の評価実務を経験したメンバーが、M&A実施時におけるバリュエーションのご提供のみならず、貴社のご要望に応じ、M&A実施後のPPAや減損テストも見据えたサポートをご提供いたします。
合併・交換比率算定
M&Aの対価として現金ではなく株式を用いる場合、当事企業それぞれの株式価値を基礎に合併・交換比率を算出する必要があります。 当事企業が上場企業であり、市場で観測可能な株価がある場合には市場株価を基礎に比率を考えることが可能ですが、多くの案件でインカム・アプローチのディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(DCF法)が採用されており、その場合には通常専門家による株式価値評価が実施されます。
また、双方または一方が非上場企業など、観測可能な株価が存在しない企業である場合にも、専門家による株式価値評価が実施されます。
フォーカスバリュエーションでは、大手監査法人系ファームにて大小多数の評価実務を経験したメンバーが、合併・交換比率算定のためのバリュエーションをサポートいたします。
株式公開買付(TOB)
株式公開買付(TOB)によって上場企業の経営権の取得や子会社化を行う場合、通常、市場株価に一定のプレミアムをのせた価格として買い付け価格が設定されることとなります。
TOBを成立させるため、バイサイド企業においては、どれだけのプレミアムを考慮した価格を買い付け価格とすべきかを慎重に検討する必要があります。この検討にあたっては、企業結合後のシナジーを踏まえた統合後の将来像を、適切に株式価値に落とし込む必要があります。
高すぎる買い付け価格は取引後の貴社の企業価値を結果的に毀損することにつながり、低すぎる買い付け価格はTOB自体の不成立を導きかねないため、適切なバリュエーションに基づく検討が不可欠です。
また、セルサイド企業にとっても、バイサイド企業の設定した買い付け価格が既存株主の利益を毀損するものではないか、本TOBが企業価値の向上に資するものか慎重に検討した上でTOBに応じるかどうかを判断する必要があり、この検討にあたってもバリュエーションが有用です。
TOBでは少数株主からの訴訟リスク等も考慮した判断が求められるため、バイサイド企業、セルサイド企業のどちらにとっても、特に慎重なバリュエーションの実施が必要となります。さらに、TOBは株式市場に与える影響も大きく、関与者全員の厳格な情報管理体制のもとに案件を遂行する必要があります。
フォーカスバリュエーションでは、大手監査法人系ファームにて大小多数の評価実務を経験したメンバーが、TOBに関するバリュエーションをサポートいたします。また、弊社では大手法人と同水準の情報セキュリティ環境を整えており、厳格な管理体制のもと貴社への業務提供が可能です。
フェアネス・オピニオン
2019年6月に経済産業省より公表された「公正なM&Aの在り方に関する指針」によれば、「フェアネス・オピニオンとは、一般に、専門性を有する独立した第三者評価機関が、M&A 等の当事会社に対し、合意された取引条件の当事会社やその一般株主にとっての公正性について、財務的見地から意見を表明するもの」とされています。
マネジメント・バイ・アウト(MBO)や、支配株主による従属会社の買収では、買収者と一般株主の間で情報の非対称性がある中で取引が実施されるため、その取引が公正であるか(一般株主が享受すべき利益が適切に確保されているか)という点について、各当事者は特に慎重に検討する必要があります。
このような取引において、第三者評価機関によって行われるフェアネス・オピニオンは、取引条件の公正さを担保するための対応(公正性担保措置)として重要な役割を果たすものとされており、このフェアネス・オピニオンを表明するにあたっても、バリュエーションは必要不可欠な要素となります。
フォーカスバリュエーションでは、大手監査法人系ファームにてフェアネス・オピニオン業務を経験したメンバーが、業務をご提供いたします。